住まいの明かりは、明るさが確保できる ことが基本。
最近は求められる要素の幅が 拡がりつつあります。
明かりが空間のイメー ジを左右する大きなポイントであることが、少しずつ 理解されてきたからではないでしょうか。
空間の中に大きな面積を占める内装材、これを照ら す光の色と数。
特性をつかんで、快適で魅力一杯 の空間づくりの参考にしてください。
光は、空気や水と同じように普段あまり意識される事は少ない。
光が私達の行動に影響を与えているという事は誰もが体験的に知っている。身近な存在である光や照明の事を、難しい専門用語や数字で説明するのではなく、簡単な光の実験を通して人にも理解してもらおうと、照明塾では「照明いろは塾」というセミナーを始めている。
第1回目は、去る(1997年)5月27日に行ったのだが、「ライトテラピー・心を癒す光を考える」というテーマで参加者を募集したところ、なんと定員をはるかに上回る120余名の方が集まった。
香りで心を癒す「アロマテラピー」がここ数年注目を集めている事もあって「ライトテラピー」という意味がイメージしやすかったのだろうか。その反響の大きさに私自身が驚いてしまった。高山で
ところで、私がこの「ライトテラピー」という言葉を思い付いたのは、2月に雪の飛騨高山で行ったライティングイベント「樹明かり108灯in高山」がキッカケであった。
スライスした木(突き板)を筒状に中に和ロウソクを仕込んだ行灯のようなものである。
それらを雪の上に点灯すると、木目模様が和ロウソクの揺らめく光で浮かび上がり、雪にほのかに反射して幻想的であった。雪の上で光る108灯の「樹明かり」を見ながら「きっと、こういう光が心を癒してくれるんだ・・」と、一人であれこれ思いを巡らせていた。
そんなこんなでこのセミナーを始めることになったのだが、最初にお断りしておかなくてはいけないのは、本来テラピー(セラピー)とは治療・療法といった意味であり、ライトテラピーなどというと病気を治すように受け取られるかもしれないが、「心安らぐ光による精神の安定」といった程度に解釈しておいて頂きたいのだ。
光を自分で見つけようという事なのである。光の実験
では、具体的に「心を癒す光」とはどのようなものなのか。
セミナーの第1回目では、「光源」と「素材」について、光の実験を交えて話を進めていったので、その一部を紹介しょう。
心安らぐ明かりには白熱灯が良いと言うことは周知のことだ。
それだけで心癒す明かりが得られるかというと、そう簡単ではない。電球が露出していては眩しいし、素材や形、電球の明るさなどによっても雰囲気は違ってくる。
照明のことを理解するには比較実験をするのが一番分かりやすいので、一度こんな簡単な実験をしてみて欲しい。
準備するものは、スタンド。
調光器があれば尚結構。封筒と茶封筒。
---では、白と茶の封筒を交互にスタンドにかぶせてみて下さい。
白と茶、どちらの光が落ちつきますか。封筒をクシャクシャにし、しわを付けた状態でかぶせてみてください。
先程とは全く違う光の表情になったと思います。あなたは、茶封筒がこんなに美しいものだった・・と感激する事でしょう。白よりも茶封筒を透した光の方が気持ちが落ちつく事、均一に光るプレーンな状態より不均質な陰影の出る方が安らぐ・・といった事も知るでしょう。手元に調光器が明るさも調整してみて下さい。あなたにとって気持ち良い明るさが発見できるはずです。何て事のない実験のようだが、照明の効果がちょっとした事で変わるということが分かると思う。
明かり、心癒す明かりとはどんなものかを知るキッカケとなるはずだ。